中田英寿の引退

代表を引退することは想定できたが、まさかプロサッカー選手を引退するとは思わなかった。
正直驚きもあるが、もともとビジネス指向があったとされるのであれば、新しい道を探したくなるの選択のひとつかな。


最近のプレーには精彩を欠いた部分も多々あったと思う。
それを運動量と精神面でカバーしていた部分もあった。
また、欧州でのプレーも満足できるようなものではなく、境遇も良いものではなかっただろう。
今更日本に帰ってくるのもうんざりだろうから、そのまま引退が自然な流れと言えば、そうかもしれない。


今回のワールドカップでのヒデのプレーには鬼気迫るものがあった。
文句なしの運動量であったし、チームの意識を変えていこうという思いを十分に感じることができた。
しかし、それがなぜメンバーには伝わらなかったのだろうか。
1勝も出来なかった一番の理由がそこにあると思う。
まとまっているようで、まとまっていないチーム。
そこには何があったのだろうか。
アトランタオリンピックマイアミの奇跡を起こしたとき、ハーフタイム中に川口ら守備陣と前園や中田ら攻撃陣、監督であった西野(現G大阪監督)とでもいざこざがあったという。
そのときの話をこのW杯で思い出した。


W杯メンバー22人は今回のヒデの引退をどう捉えているのだろうか?
「最後だから、あんなにがんばってたんだぁ」くらいに考えている選手はいるのだろうか?きっといるだろうな。
4年後、この22人の中から何人が代表に入るのかわからないが、ヒデの意思を継ぐ者は入る可能性があると思う。
オーストラリア戦後、「俺らの世代が出たら勝てたな」と小野は言ったらしい。冗談か本心かはしらないが、間違いなく負けただろう。
その文章を読んで、正直がっかりした。冗談にしてもそんな事を言うようでは勝てないよ。


4年前、日本がベスト16で敗れ韓国がイタリアに勝った日、ぼくは韓国とイタリアの試合を見ながら泣いた。
どうして日本は韓国の様に闘争心を出して、ひたむきに一生懸命にボールを追う事ができないのか?
悔しくて悔しくてたまらなかった。
4年が経ち毎日ニュースで打電される合宿の様子から、4年前と何ら変わらない選手にあきらめと期待が交錯し、それでもヒデが引っ張ってくれると思っていた。
ブラジル戦後、グラウンドに横たわるヒデの姿に誰も声をかけない状況を見て、普通ではあり得ないと思った。
その光景こそがチームの状況なのだと思わされ、無駄に4年が過ぎてしまったのではないかと考えずにはいられなかった。


中田英寿の引退、正直残念だが日本のサッカーは前に進まなくてはならない。
ヒデの意思を継ぐ者はいつ現れるのだろうか。